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初夏、樹々の葉が茂り始めて、なかなか鳥が見づらくなってきた頃、ひょっこり目の前に現れて目を楽しませてくれる鳥。
また初冬、雪が降りしきり鳥影もない林を抜けて伐採跡に出たとき、林縁でチチッと鳴いて姿を見せてくれる鳥。
なぜかホオジロ [Emberiza cioides] にはそんなイメージがあります。
一筆啓上という特徴的な聞きなしが有名です。日本全国どこにでもほぼ一年中居るポピュラーな鳥です。
ホオジロ属の鳥は、漂鳥や渡り鳥など季節移動するものが多い中で、ホオジロは留鳥で季節を通してほぼ同じ場所に留まっています。
有名なわりには姿を知らない人が意外と多いようです。赤茶色の体に黒斑に隈取られた顔というのがスズメとにているためでしょうか?
よく見るとスマートな姿の良い鳥です。
ホオジロ属 [Emberiza] は似たような地味な鳥が多くて観察者泣かせでもあります。
雄雌の姿は良く似ていますが、顔の隈取りの色が雄は濃い黒雌はそれよりやや薄い焦げ茶色なので区別できます。
関東地方ではホオジロは2月から囀り始めることもありますが、雪国では遅くて夏鳥が勢ぞろいした頃になります。
上の写真は八幡平大沼の遊歩道脇で撮ったものです。6月下旬のレンゲツツジが満開の季節、イヌツゲの先端に停まって囀りの真っ最中でした。
梅雨の合間のこの日は人も少なく、この気持ちのよい場所で長時間囀っていました。
「一筆啓上」とは言うものの、囀りの季節の雄は木の梢の一番高いところをソングポストにして、延々と鳴き続けます。100筆いや200筆ぐらい一気に啓上することはザラにあります。
鹿角では街の傍の田畑や川原から、1000mを越える山の上まで広く見られます。林縁、つまり森林と畑や草原の境目付近を好む鳥です。
群れは作らずいつも分散しています。
ホオジロと間違いやすい良く似たカシラダカは、春秋の渡りの時に大きな群れで現れるのと対照的です。
ホオジロ属の鳥たちは、どれも地味ですが美しい囀りをします。逆に地鳴きはほとんど「チッ!」と同じで識別の難しいグループです。その中で、ホオジロだけは「チチッ!」と二声連続して鳴いてくれるので区別することができます。
尾羽根の両脇に白い羽が目立つのは、唯一クロジを除くホオジロ属共通の特徴です。
オオヨシキリ [Acrocephalus orientalis] と並んで、よくカッコウ [Cuculus canorus] の托卵対象とされる鳥としても知られています。
鹿角はカッコウは多く来ますが、オオヨシキリは低地にしか居ないので、山ではホオジロが集中的に狙われそうです。
気の毒です。
written by © 2014,OOSATO,Kazzrou : kazz_atmark_kk.iij4u.or.jp
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