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16. キビタキ [Ficedula narcissina]

キビタキ

きーくん絶叫

  来ました来ました。朝から元気に鳴いています。 5月も下旬になってキビタキ [Ficedula narcissina] の囀りはいよいよ佳境に入ってきました。
  家の裏の小さな祠の杉木立の中から聞こえてきます。今日は「ソフトクリーム」連呼パターンを延々と続けています。
  もう2時間も連続して鳴き続けですよ。時々声が裏返って「ケキョ…」って、きーくんそれ違うでしょ。違う人の声でしょ(笑)。
きーくん絶叫(MP3 約1分 鹿角市花輪荒屋敷で録音)

  これがまあ、キビタキの典型的な囀り(絶叫系)なのですが、もっと地味なあっさりした囀りもよく聞きます。
  どちらかというと、アッサリ系きーくんの方が多いかもしれません。この違いは。環境に拠るものか、年齢等なのか、繁殖期のステージの違いなのか、単なる個体差なのか?棲息密度によって変わると言う説もあり、よく分かりません。

  繁殖期の雄は、かなり強くナワバリを主張します。
  雄同士の争いの時は、ちょっと想像もつかない声も出します。森の中から「ビリビリ…」というセミの羽音のような音が聞こえてきたら、キビタキの闘いの声かもしれません。
  これが羽音ではなくて声なのですから、驚きです、

  学名の種小名は narcissina で、英名も Narcissus Flycatcher と共通です。
  水仙の黄色に由来するのでしょうが、一心不乱に自己陶酔のように鳴き続ける様子は、水仙に姿を変えられてしまったギリシア神話の美青年ナルキッソスも連想させます。

  雄は鮮やかな黄色と黒の鳥です。
  基本的に空中もしくは樹上採餌ですから、昆虫類が飛び始めないとやってきません。オオルリ [Cyanoptila cyanomelana] やコサメビタキ [Muscicapa dauurica] などとほぼ同時に姿を見せてくれます。
  空中に飛び出して飛んでいる昆虫などを捕まえるのが上手です。フライングキャッチです。
  キビタキ属 [Ficedula] の鳥は、世界中におよそ30種程ありますが、英名は全て Flycatcher が付きます。しかし、Flycatcherは、旧ツグミ科と統合されたヒタキ科のヒタキ亜科からさらにノビタキ亜科を分離した最近のヒタキ亜科の総称でもあって……、ああ、ややこしい。

  東南アジアからやってくる夏鳥で、鹿角では4〜5月の連休頃平地に来て、ブナの芽吹きに先駆けるように山にいきます。 5月上旬には花輪近郊の東山や湯瀬渓谷で、中旬頃には八幡平大沼周辺でも姿を見かけるようになります。
  森の中では中層を好むと言われていて、実際わりと見易い場所にいてくれますが、晴れた日には、かなり上層に見かけることもあります。
  おそらく、羽虫の飛んでいる高さによるんじゃないかと、私は思っています。
  空中で虫を捕えたあと同じ枝に戻る習性は、多くのヒタキ族と同じです。次々と別の枝に移動してしまうムシクイ類に比べて観察は楽です。

  普通は森の中の中低木で見かけることの多い鳥で、木漏れ日のチラチラする森の中では意外にも保護色になります。
  薮蚊に刺されながらの観察になることもしばしばです。 その時は蚊が私の血を吸い、キビタキがその蚊を食べるという食物連鎖で、「人間が生態系の最下層かよ!」状態になってしまいます。
  でも、まだ雪の残るブナ林の芽吹きの時期は別で、蚊に悩まされることもありませんし、青空にくっきりと抜けた黄色のコントラストが美しいです。
  上の写真は、5月中旬の大沼外輪山で。綺麗な色で人気のキビタキですが、特にこの時期のこのアングルは格別です。

  木々が繁り、薮が深くなり、囀りも聞かなくなると、目立たなくなります。
  でも、忘れないでください。子育て中ですから静かに見てください。
  抱卵と育雛は主に雌の担当らしいですが、ウグイス科 [Sylviidae] の多くの鳥のように交尾さえ済めば後は知らん顔ではなくて、雄も付き添っています。
  雄がどの程度育雛に関わっているのかはよく分かりません。少なくともナワバリ維持はやっているようです。
  林道を草刈り車が通り過ぎた後、飛び出した虫を目当てに雌のキビタキが現れました。見ると少し上の枝にはやや若い羽衣の雄もいて、キリリとした姿で周囲を警戒していました。その横には嘴が黄色で胸が幼羽の羽毛で覆われた巣立ち雛が口を開けて餌をねだっていました。
  7〜8月頃に見かける、こんな一家お揃いの姿も、微笑ましいです。

[ print ] [ full width ] revision 1.3   2014/04/16 (2014/03/23初稿)

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