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今は廃鉱となって久しい尾去沢鉱山。私たちが子供の頃は花輪の街から見上げる尾去沢の山は赤茶けた禿山でしたが、現在では美しい緑に覆われてきました。
その山の裏の斜面に貼り付くように田郡という廃村があります。今は家もなく、昔日の思い出を偲びながら山道を登っていきます。
ここに観音堂という古い庵の跡があります。友人の住職に誘われ、草刈りと先祖供養のために、6月の第1日曜日ここを訪ねるのが、ここ数年の年1回の行事になりました。
草刈り鎌を振りながら急坂を登ると、すぐに汗ばんできます。道を塞いでいる倒木は鋸で片付けます。
山道の両側に、古い家の礎石だけが残っています。幼時の微かな記憶を辿ります。
路傍を埋め尽くすマイヅルソウの群落に癒されます。
まさに夏鳥の囀りの季節です。ウグイス、キビタキ、オオルリ、遠くからボー、ボーとツツドリ、そして、この年は特にセンダイムシクイ [Phylloscopus coronatus] が多い年でした。チヨチヨチヨギーと鳴き続けていました。
日本に夏鳥としてやってくる代表的なメボソムシクイ属 [Phylloscopus] は、メボソムシクイ [Phylloscopus borealis] 、エゾムシクイ [Phylloscopus borealoides] と、このセンダイムシクイの3種です。外見はどれも良く似ています。
センダイムシクイの外見上の特徴は、黄色い頭央線です。種小名のcoronatus、英名のEastern Crowned-Warblerは、いずれもこの特徴的な頭央線に由来しています。
頭央線が見えれば識別は容易なのですが、下から見上げているときはやっぱり悩みます。
鳴き声は、囀り地鳴きともそれぞれ特徴的なので、鳴いてくれさえすれば簡単ですが。
「焼酎一杯ぐいー」とか「鶴千代ぎみ〜」と言う聞きなしが有名な特徴的な囀りです。
地鳴きは「フィ」という柔らかい音で、「チッ」と硬い音のエゾムシクイ、「デュィ」と太く濁ったメボソムシクイと簡単に区別できます。
繁殖地の標高分布もかなり明確で、里山のセンダイ、広葉樹林帯のエゾ、亜高山針葉樹林帯のメボソと別れます。
春秋の渡りの時期も繁殖地の標高に応じてずれています。早いのがセンダイ、続いてエゾ、遅いのがメボソとなります。
じつは、メボソムシクイ属は難解なグループです。地味で目立たなくで、生態は薮の中で、地域的な微妙な差があって、渡りの分布が複雑。
ウグイス科に属するとされていましたが、最近の研究ではメボソムシクイ科を独立させる学説が出てきたりと、わけ分からん程変わってきています。
その中では、センダイムシクイは分かりやすい鳥です。
すっきりした眉斑と過眼線。姿の良い大好きな鳥です。
[ print ] [ full width ] revision 1.3 2014/04/16 (2014/03/08初稿)written by © 2014,OOSATO,Kazzrou : kazz_atmark_kk.iij4u.or.jp
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